異国に迷い猫

K-POPのいろいろ

猫のK-POPアワード2020~今年のアルバム賞~

 

 

2.聞き心地の良いアルバムで賞 11選

大手の海外でツアーをするようなグループは自然とコンサートのセットリストを意識したような様々な色の楽曲を揃えたり、もしくはアルバム全体でのコンセプトを決めていたり、新人であれば新たな姿を見せようと選択した楽曲もあったり、実は聞き込めばその面白さがわかったり、気づいたら聞き込んでいたアルバムがあるなと思い選んでみました。どれも好きな楽曲はあるものの今回はアルバム全体の世界観や聞き心地を重視しました。初めは好みではなかったとしても聞けば聞くほど良い曲というのはありますよね。

 

NCT / RESONANCE pt.2 -The 2nd Album
127 DREAM U WayVと一気に楽しめる詰め合わせのようなアルバム。変わらず不思議で独特なコンセプトの楽曲が多いなか、多国籍グループならではのFrom homeのような色々な国の言語を入れたバラードなど聞きやすいナンバーも入っていてバランスがいいです。
NCTと言えばやっている音楽が難解すぎて大衆的ではないとの声が多数見受けられ、変わらずずっと「よくわからないけど、何かすごいことをやっていることだけはわかる」ということをやり続けているグループですが、やっと世間が彼らの先鋭的な音楽についてきたのかなと。それがMake A Wishで爆発したように感じました。Make A Wishが発表された直後、急にNCTに興味を持ち始める他沼のオタクが増えたなと感じたのは私の勘違いでしょうか笑。
数年前までSMはラップの技術で揶揄されることも多かったのですが(K-POP全体で歌が得意ではないメンバーにラップをさせるというような雰囲気の時期がありました)、最近はラップの技術も向上し、また元々SMはボーカルは強いため、サウンド面でも上質な仕上がりになっているなと感じられます。
もしこのアルバムが2年前に出ていたとしてここまで浸透できたのか。今だからこそ意味のあったアルバムではないか、とそんなことを考えたアルバムです。

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SuperM / Super One -The 1st Album
SMからもう一作品。タイトル曲や活動曲を最初聞いたときは変わっていて、特にいいと思うこともなかったのですが、何度かTV等でパフォーマンスを見ているうちにいい曲だなと感じるようになるという現象が何曲かありました。基本的にベッキョンのボーカルが好きというのもあり、その他のメンバーもアベンジャーズというだけあって平均的に実力が高いので結果的にたくさん聞いたアルバムだったなと思います。何度か聞いていくことで深みが出るような構成ではないかと思います。
年始のSMTOWNでも、ボーカルで気になる瞬間が一時もない、それくらいボーカルが強い事務所だなと改めて感じました。単純に私が元々SMの音楽を聞いていて、SMのボーカルディレクションに慣れているというのも大いにあると思いますが笑

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SF9 / FIRST COLLECTION
GOLDEN CHILD / 1st Album Repackage:Without You
どちらも2020年最初のほうにリリースされたディープハウス全盛の時期の名残が感じられるアルバムです。ディープハウスのタイトル曲に合わせて軽めのタッチの曲が多く聞きやすいのが特徴。リリースされた直後はかなりヘビロテしました。K-POPのスピード感に乗り遅れずにいいタイミングで出せた作品だったと思います。また興味深いのがどちらのグループもドラマで人気を得たメンバーがおり、2019~2020のほぼ同時期に1位を獲得したグループという共通点があります。

SF9はLullu lallaやDance with Usの編曲がかわいい系でFireはラテン系、しっとりしたバラードがないのがむしろとてもいいです。PENTAGONの明るい楽曲が好きな人にはDance with Usがおすすめです。

Goldenchildはほとんどが事務所の特色であるウリムサウンドの風味があり、サビでトレンドっぽい音楽になる曲が多いのが面白いです。ちょっともったりしてきたなというところにちょうどアップテンポの曲が入り、また全体的に懐かしいサウンドが多いのがよかったです。こちらはしっとりとした聞かせるバラードがあります。

 

FIRST COLLECTION

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AB6IX/ VIVID-EP

騒動後、録り直しをしてリリースした今作。これまでデフィ自作のディープハウス曲がタイトル曲であることが多かったAB6IXがプロデューサーにジコを迎えてカムバックしました。今までにない少し気軽な感じの楽曲にジコのトーンでラップする新しいウジンに出会えました。

デフィはいわゆるパワーボーカルではないのでメインボーカルとは言えない位置のボーカリストかと思いますが、このアルバムでは特にデフィのボーカリストとしての器用さが発揮されています。細い声も太い声もテクニックを駆使して歌いこなし、ラップパートまで担当しています。

楽曲も非常にバランスが良く、これまでのデフィの曲が好きだった層にも満足できるVIVIDという曲もあり、少しセクシーなRed up、何よりも私の好きな초현실(Surreal:超現実)もあり、気に入ってよく聞いていました。

この前後にリリースされたアルバムももちろん良い作品ですが歴代級のアルバムだったと思います。

VIVID - EP

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EVERGLOW / reminiscience-EP
ガールズグループで間違いなく一番聞いたのがEVERGLOWのこのEPだったなと思います。EVERGLOWはタイトル曲こそバブリー(死語)なクラブ系の曲ですが、その他の曲は意外とそうでもなくてクラブ明けの寂しい朝のような曲だとか、ポップな可愛い曲、通学通勤に向いてそうな曲もあって、なのに全部にバックの音が強めに入っていて統一感があるのがすごく聞きやすいんですよね。一見古くなりそうなサウンドもラップが上手いからかかっこよく聞こえてすごくバランスがいいです。

reminiscence - EP

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宇宙少女 / Neverland-EP
宇宙少女って不思議なグループでカムバックごとにそれなりに違うコンセプトの曲をやっているのにほとんどがしっかり「ユメカワイイ」にまとまっているグループなんですね。今回のアルバムは全体を通してどれもウジュサウンドっぽさがしっかりあって、実を言うと特別に好きな曲があるわけでないんだけど、時々ふっと訪れるウジュっぽい可愛い音を聞きたいなというときに安心して聞けるアルバムだったなという。年間を通してたくさん聞いたわけではないけれど、定期的に聞いていたアルバムです。

 

Neverland - EP

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PENTAGON / WE:TH-EP
まずPENTAGON初1位おめでとう~!ここまで長かったけれど、色々なコンセプトに挑戦してピンナリという素晴らしい曲の、ある意味では祝福を、ある意味では呪縛をたくさん受けてたどり着いた曲がDAISYだったことが何よりも嬉しかった泣。アルバム全体を通してPENTAGONが経験したと思えるような青春の音がたくさんして(ファンの皆さんにはわかってもらえる表現だと思います)、初期の頃に挑戦したLike ThisやRUNAWAYのような路線を再解釈して、実力や表現力が上がった今のPENTAGONがやるから意味のあったコンセプトじゃないかなとどの曲でも感じられて、最初はそれが嬉しくて何度も聞いたアルバムでした。


年長組のメインボーカルの二人が兵役でお休みになる間、どんな展開を見せるのか、ちょっぴり心配もしながら、今後は他のメンバーの自作の実力にもスポットが当たるんじゃないかという期待もしつつ、次のカムバックを楽しみに待ちます。 

 

【追記】

CUBEは昔から作詞作曲をする自作ドルを育成してきた事務所ですが、(G)-IDLEのソヨンやPENTAGONのフイ(他の先輩も含む)は様々なジャンルの曲を幅広く作ることができます。最近は自作ドルも増えてきていますが、どうしても同じ人が作ると似た感じの曲調が多くなったり、歌詞を書くことで音楽そのものよりもその人自身の物語性を消費するようなファン心理が働きやすいと感じることがありました(もちろんそれ自体は悪いことではないのですし、PENTAGONのファンにもフイがこんな歌詞を書くんだ、という事柄に萌える人もいると思います)。そういった面ではフイは様々なジャンルの楽曲や様々な主人公を想定しての歌詞が書けるので、フイ自身の物語性というよりかは「"ただの"天才」として期待されることのほうが圧倒的に多かったと思います。だからこそ(会社のキャスティング能力も手伝っていますが)楽曲提供や音楽プロデュース番組の話が来るのかなと。

また今回以前にやったジャンルの曲に戻そうと思えば戻せたけど、あえてしてこなかったことが証明されたなと感じました。CUBEの、得意なジャンルはあってもあえてそれに固執させずに様々なジャンルにチャレンジできる環境(サポートというより環境の側面が強いですが)はより今のトレンドに左右されずに独自のカラーを出せる強みだと思います。

※フイが「"ただの"天才」で物語性よりも楽曲の良さを評価されているという話をしたくて追記しました笑

 

フイの自作に対するインタビュー

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WE:TH - EP

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BAEKHYUN / Delight-The 2nd Mini Album
もうお気づきかと思いますが、私ベッキョンのボーカルがとても好みなんですね笑。今は特に推しているというわけでもないんですが、いまだに唯一無二の声だと思っています。ソロデビュー前の企画もののソロだとバラードが多かったんですが、こうしてR&Bを選択してくれたおかげでよく聞いています。最初Candyを聞いたときは特に好きでもなかったんですが、たまに何かで聞くたびにジワジワと良いなと思うようになりました。
ベッキョンのファンはみんなそうだと思うんですが、ベッキョンに歌ってほしいスタイルがあるはずなんですね(たぶん)。その中でもそれぞれの希望のスタイルの端っこに必ず当たってるのがR&Bなんじゃないかと思います。例えば最初聞いたときは「なるほど」と特に好きな曲でもないなという感想だったとしても、ファンはファンなので聞こうとするじゃないですか。そのときの許容の範囲に必ず入っていて、嫌いな曲がないというラインを守っているようなラインナップです。(もちろん最初から好みの人もいるでしょう)

今のトレンドの作品かというと世界的な基準ではそうでもなかったのではないかと思うんですが、本人に合っているスタイルで、尚且つアイドルっぽくないジャンルを選ぶことで韓国内の一般的な、ベッキョンと共に年を取って今は社会に出ている層にも聞いてもらえたのかなという予想も立つなと(実際はわかりませんが)。
2020年はEXOとしての完全体の活動がない中ミリオンを突破した、対外的に見てもクオリティの高い作品でした。

 

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DKB / LOVE-EP

2020年デビューのDKBの2集です。2020年デビュー組はラップが上手いグループが豊富で自作も当たり前になってきた中、DKBはどちらの要素もしっかりと持ち合わせています。事務所がプロデューサーの勇敢な兄弟率いるブレイブなので、編曲もしっかりと音が詰まっており、また一昔のサウンドをタイトル曲にするということもなくそれなりに今時の曲に決めてくれるのでそこが安心できるところです。一方でアイドルっぽいかというと、それよりもソロのゆったり系のラッパーの楽曲のような雰囲気もあり、K-HIPHOPが好きな人たちにウケがいい楽曲なのかなと感じることもあります。

全体的に似た感じのトーンの楽曲を集めているのでまとまりがよいものの、しっかりと飽きのこない構成になっているところがいいです。Tell'em Boysは楽しく、ラップを聞かせる曲もあり、最後のRoseは艶っぽく仕上がっているバランスのいいアルバムです。

DKBは振付も本人たちがコンペに参加して作っているそうで、先輩グループのカバーダンスの形態変更を自力でやったり、ダンスブレークを自作したりもできるので、ぜひダンスも見てもらいたいなと思います。

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SEVENTEEN / 헹가래 Heng:garæ-EP

ある韓国の書評でもそう書いてあったんですが、実際は「;(semicolon)」と一緒に聞いたほうが楽しめるアルバムではないかなと思います。あとはもう好みの問題で、

「;(semicolon)」は嵐(現状の世界)のあとに夢だったヨーロッパのショーを見に行ったような世界観で統一されており、こちらのヘンガレは鬱屈した嵐の夜に「人のいない浜辺にSEVENTEENを集めて遊んでもらったら楽しいだろうな」と想像しながら聞くようなイメージです。(説明が下手)

共通点は日常からの逸脱ではないかと勝手に思っているのですが、考えてみればセブチの目指すエンタメの本質は全てそこに繋がっているなと。だからと言ってこれまでの楽曲が共感できない歌詞でもなく、キラキラと輝く男の子の曲もあれば、洗練されたパフォーマンスが際立つ曲もあり、世相を反映させた曲もあって、色んなコンセプトを消化できるセブチらしさでもありますね。

セブチが作る音楽はいつも青春の音がどこかにあって、同世代は一緒に成長していけるし、年下にはちょっと(だいぶ)かっこいいキラキラしたお兄さんだし、年上のお姉さんたちにはもう取り戻せない眩しい青春で、だからこそ楽しい、なんてことをたまに感じたりします。

2019年にリリースされた「An Ode」にfearという作品があって、ヘンガレはその繋がりでfearlessから始まっているのも粋でいいなと思いました。タイトル曲の「Left&Right」は年始のアムノレチャレンジから始まった~チャレンジブームの流れをしっかり継いでおりキャッチーなサビの振付でレフライチャレンジを提案していました。私は特に「MyMy」が好きで最後の「같이 가요(Together)」もシンプルにいい曲でたくさん聞きました。

 

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続く。